電圧降下のまとめ

  

電圧降下について簡単にまとめた説明ページです。電圧降下のしくみや、家庭内で電圧降下が起きてしまう原因、それから施工者が知っておかなければならない電圧降下の内線規定や、計算方法について整理してみました。

電圧降下を簡単に説明してみましょう。電圧降下を硬い言葉で説明すれば、電流を通した際に電気抵抗の両端に生じる電位差となりますが、これではピンと来ませんね^^

圧力(電圧)をかけて電流を流そうとしますと、遠く離れるほど電流を更に先に流そうとする圧力(電圧)が減っていって最後には圧力がゼロになって、電流はその先に流れなくなります。

もし電流を流す経路にまったく抵抗がない超伝導と呼ばれる物体の中であれば永久に電圧は減らず、電流は流れることになりますが、現実には超低音にでもしないかぎり必ず電気抵抗による電圧減衰、電圧降下は起きることになります。

まとめます。
電圧降下とは、電気を通そうとする電線や導体の電気抵抗によって、どの程度電圧が下がるかの度合いを指す指標です。オームの法則そのままの「流そうとする電流の大きき」×「電気抵抗」で求めらるということです。

送電線が高圧電流なわけ

送電線は人間が触れてはいけない高圧であるのも、この電圧降下を避けるためなのです。繰り返しになりますが、電圧降下は「流そうとする電流の大きき」×「電気抵抗」ですから、なるべく「電気抵抗」が低い銅などの導線を用いて、できるだけ「流そうとする電流」を小さく、すなわちできるだけ電圧を高くして電圧降下を極力小さく抑えているという訳です。

電圧降下の原因

電圧降下は、電気を通そうとする導体の電気抵抗によって必ず生じますが、どの建物もあらかじめ正常な電圧降下を見込んで配線をしているので、正常であれば問題はおきません。

現実に建物の交流電源で電圧降下がおきて実害がでている場合は、電力施設からの電圧、変圧器の異常などが原因である場合もありますが、たいていは、宅内の電気プラグやコンセントなどが劣化したために、電気製品に到達するまで、当初想定していた以上の電気抵抗が発生してしまっている場合が多いのが実情です。

電源コンセント、電源プラグ、ACインレットが古く、あるいは異常に熱を帯びたりしていないか、チェックしてみましょう。新しいものに交換してみるだけで改善されるケースも多いです。

電圧降下の計算式の基本はいたってシンプルです。直流電流の場合は、基本的には学校で学ぶオームの法則で事足ります。基本はV=IR(V:この場合は降下する電圧、I:電流の大きさ、R:電気抵抗の大きさ)です。交流の場合も、電圧降下の基本にかわりはありません。インビーダンスなどの係数が加わるだけです。

電圧降下の計算詳細

「通す電流の大きさ」に「導体の抵抗の総和」を掛けます。
「導体の抵抗の総和」の求め方は、「単位長あたりの抵抗値」×「導線の長さ」更に詳しくかみくだくと、「単位長・単位断面積あたりの抵抗値」×「導線の太さ(断面積)」×「導線の長さ」になります。

実際には単相2線式、三相3線式、単相3線式などの配線方式、変圧器からの距離、屋外の長距離の送電線の場合は表皮効果や近接効果による導体抵抗値の増加などを考慮、それぞれ経験的に妥当な係数がかけられた計算式が内線規程などで条件別に定められています。

また、計算に使用する電流も、使用する電気機器の特性(安定して電流が流れるか、変動するか、起動時に大きな電流が流れるか)によって3種類使い分けるという取り決めになっています。よく使う計算式は表計算ソフトExcelにコピーしていつでも参照できるようにしておくと良いでしょう。

内線規定における電圧降下の規定値

内線規定(内線規程)といえば、昭和43年に規程された電気施工上の事実上の業界基準ですが、内線規定における電圧降下に関する規定は、以下の通りです。
低圧配線の許容電圧降下(幹線、分岐回路)

  • 60mまで:標準電圧の2%以内。
  • 61m~120m:標準電圧の4%以内。
  • ~200m:標準電圧の5%以内。
  • 200m~:標準電圧の6%以内。
ただし、建物内に変圧機がある場合は、それぞれ+1%まで電圧降下の許容度が上がります。

電圧降下の計算式は、内線規定に定められた式を用いて計算します。

内線規定は、罰則はありませんが事実上の標準です。電力会社も、内線規定を遵守しないとわかった建物には送電を許可していないとのことです。

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